幼なじみじゃイヤなんだ。
「俺は桜の気持ちを手に取るようにわかっていたから、桜が俺を意識し始めたら、その変化に俺が気付かない訳がないって、たかをくくっていたんだ」


「……」


「でも、高校に入って少ししてから、桜の考えていることがわからなくなってきた」





私が流瑠を好きになり始めた頃。





「ちょうどその頃、桜が上坂と仲良くなり始めた頃だったから」




「本気で焦ったよ。上坂が桜のことを好きなのは一目瞭然だったしな」





流瑠が苦笑する。





「『綺麗』とか『可愛い』とか、あいつは俺が恥ずかしくて言えないこともサラッと言ってしまう」


「そして、桜は嬉しそうに自慢するし…」


「してません!!」





脹れながら言葉を遮った私の頭にポン!と手を置いて、少しすねたように言った。





「それよりも何よりも桜が上坂といる時に何だか楽しそうに笑ってたから」


「……」




文化祭の時、流瑠が私を無視して通り過ぎた時のことを思い出す。



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