幼なじみじゃイヤなんだ。
「桜を文化祭の時のような目にもう二度と会わせたくないからって、咄嗟に吐いた嘘だった」



「え…」



「でも、そんな嘘は言ってて気分悪くなった。だから、気付いたら桜への本当の気持ちを口にしてたよ」





私のため…だったんだ?






「でも、もうあんな思いさせない。俺が守る」






胸がギュッとなって、愛おしさがこみ上げてくる。




『俺が守る』



流瑠は今まで口にこそ出さなかったけれど、いつだってそうしてくれていた。





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『全部聞いたの流瑠の気持ち、だから言わないで、聞きたくないの』


『…俺はきちんと言いたい。桜がどんな答えを出しても俺は受け入れるから、勝手だけれど、桜に聞いてもらいたい』


『だって私、流瑠に面と向かってそんなこと言われちゃ辛いよ…でも、流瑠は言いたいよね?ごめんね。聞く勇気がなくて、ごめんね流瑠』




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あの日のやり取り。



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