幼なじみじゃイヤなんだ。
「俺は桜が、雪見との会話を最後まで聞いていると思っていたから、俺が桜のことを好きなのを知った上で、桜は俺の気持ちをもう聞きたくない。って言っているんだと思ってた」


「え!?ち、違う…」


「そう、勘違いなんだよ。あの時の桜は、俺が『好きな子がいる』『桜はただの幼なじみ』って言うのを、もう二度と聞きたくない。って言ってたんだろ?」


「うん、そう!」


「あの時、俺も桜もお互い“自分はフラれた”って思い込んだんだよ」





何でも話してきたはずの私達が、


伝えることを恐れて

聞くことを怖がって



少しずつすれ違ってしまった。




その時間を埋めていくように、流瑠がゆっくり話してくれる。





「桜と気まずい状態のまま、部の合宿期間になって、昼は何にも考えないように必死でボールを追いかけてたんだ。でも、夜に時間が出来ると必ず桜のこと考えてしまってた」





わたしも流瑠の目を見て、その言葉を聞く。





「言い合いした日のことが頭から離れなかった」





以前の私達に戻りたいから。





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