幼なじみじゃイヤなんだ。
「あの言い合いした日だって、私が泣いたのは、キスされそうになったとか、怖かったとか言う理由じゃない」



「…」



「あの時私は、流瑠にならキスされてもいいって思ってた」



「…」



「でも、流瑠には誰か好きな人がいるんだと思ったら、泣いてた」





流瑠の体温が上がっていく。

流瑠の鼓動が早くなる。





「それから『可愛い』は流瑠に言われたのが一番嬉しかったよ」





流瑠の腕の中に包まれたまま、顔だけを上げて流瑠を見つめる。



頬を赤くした流瑠と目が合った。





「流瑠ってば照れてる?」


「うるさいよ。でも嬉しい…」



流瑠の口元が優しく緩む。


そして、ゆっくり、ゆっくり近付いて………
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