幼なじみじゃイヤなんだ。
流瑠がくれるキスは

やっぱり、甘くて優しくて

私は簡単に溶けてしまいそうになる……











「だから、無理だって言ったのにぃ…」





またもや簡単に腰が砕けた私はベンチから立ち上がれない。





「あんな顔して、あんなこと言う桜が悪い」





悪びれることもなく流瑠が言う。





「はい?『あんな顔』ってどんな顔?…あっ!また、『間抜けな顔してた』とか言うんでしょ?」


「キスしたくなる顔だよ。…って…あれ?」





流瑠が怪訝な顔をして入り口の方を見てる。





「どうしたの?」


「桜…今日って8月5日だよな?」


「え?うん。そうだけど?」


「あれ見て」


「ん?え!?なんで!?」





流瑠が指差す先を見ると1枚の貼り紙。


そこには、“イルカ館 8/10 オープン”と書かれてあった。


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