幼なじみじゃイヤなんだ。
そのおまじない効果はてきめんで、次の日私は本当に逆上がりが出来た。




それから私達の“充電”が始まった。




あの頃みたいに素直になれたら。

素直になれたら?




気が付けば、私は流瑠の手を力強く握りしめて、私をもやもやさせている疑問をぶつけていた。





「…あのさ?」


「うん?」


「…下の名前を呼び捨てで呼んでてびっくりしたよ…仲いいんだね」


「えっ?」


「ユキミって子の名前…」


「えっ?ユキミ?」





また呼んだ。胸がチクンと痛む。





「えっ?俺、誰でも呼び捨てで呼んでるだろ?『北条』も呼び捨てだろ?」


「『北条』は苗字じゃない?」


「…桜?」


「え?」


「勘違いしてる?」


「勘違い!?」


「『ユキミ』って苗字だよ。確か“雪見 恵(ゆきみ けい)”って名前だった」









「ええええええ───っ!」



顔を跳ね上げた。
< 88 / 606 >

この作品をシェア

pagetop