幼なじみじゃイヤなんだ。
「桜さぁ。何か落ち込んでいる?」





いろいろ考え込んでいた私を、早苗が覗きこむ。





「え!?何で??落ち込んでなんかないけど?」


「何でって…大石が誰かと付き合っちゃったらどうしよう。とか思わないの?」


「えっ!?お、思わないよ!第一、そんなの流瑠の自由でしょ?」


「…まあそうだけど」


「早苗こそ!マサ君も、モテるよ?」





そう。マサ君もモテる。




流瑠が“優しい系のかっこいい顔”なら

マサ君は“男らしい系のかっこいい顔”。





早苗は私にマサ君の事をどう思っているかなんて言わない。

きっともう、今更過ぎて好きとか恥かしいんだと思う。




でも小学校からの付き合いだもん。

早苗がマサくんのこと好きなことくらい分かるよ。





「うん、マサがモテるのは分かってるよ」





素直な早苗に私はびっくりした。



自分でふっておきながら、そんな素直な早苗にびっくりしてしまった私を見て早苗が言った。






「わかってるよ。なんとかしなきゃいけないんだってことは。そうしないと、一緒にいることすら、いつか当たり前じゃなくなるんだってことも……ね」






早苗の目は凛と前を向いていた。


その目はとても真っ直ぐで、綺麗で…。



私は思わず目を逸らしてしまう。




胸の中が落ち着かなくなっているのを隠すように深呼吸した。



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