みんなが好きだから、
次の日。
「おはよーうッ!」
とおるはいつもギリギリに教室に入ってきた。
「お前には余裕という言葉はないのか・・・。」
健太は言った。
とおるはそんなもんあるかー!と重いバックを机に置いた。
「おい、仲野!」
「何よ。」
前に座っている仲野の肩をたたいて言った。
「俺な、昨日一時間勉強したぞ。」
仲野琴美は甲高く笑った。
「受験生が一時間程度?それでよく自慢できるわね。」
とおるはギクッとした。
「仲野そこはすごいって言ってやれよ。」
健太はフォローした。
「学年プラス一時間が最低でもやるべきことだと思うわ。」
「そんなこと言ってるけど、こいつまだ部活やってんだし。」
「そんな余計なことやってるからよ。」
「余計ではねえだろ!」
とおるは怒った。
「俺らは、県大会目指してんだよ!」
「弱い第一のチームが県大会なんていけるわけないでしょ。」
「お前なあ・・・!」
「やめろ。」
健太は、殴りかかろうとするとおるを止めた。
「ほっとけ。」
そして、着席のチャイムが鳴った。
「ホント仲野だけこのクラスからいなくなればいいのに!」
とおるは言った。
「我慢しろよ。」
健太は一時間目の準備をした。
「次、移動教室だぞ?」
「え、理科?」
「おう。」
とおるは、理科の教科書を机の中から引っ張り出して
「行くか。」
と言った。
「おう。」
「そんでよ、仲野も花ヶ咲なんだろ?」