みんなが好きだから、

次の日。

「おはよーうッ!」

とおるはいつもギリギリに教室に入ってきた。

「お前には余裕という言葉はないのか・・・。」

健太は言った。

とおるはそんなもんあるかー!と重いバックを机に置いた。

「おい、仲野!」

「何よ。」

前に座っている仲野の肩をたたいて言った。

「俺な、昨日一時間勉強したぞ。」

仲野琴美は甲高く笑った。

「受験生が一時間程度?それでよく自慢できるわね。」

とおるはギクッとした。

「仲野そこはすごいって言ってやれよ。」

健太はフォローした。

「学年プラス一時間が最低でもやるべきことだと思うわ。」

「そんなこと言ってるけど、こいつまだ部活やってんだし。」

「そんな余計なことやってるからよ。」

「余計ではねえだろ!」

とおるは怒った。

「俺らは、県大会目指してんだよ!」

「弱い第一のチームが県大会なんていけるわけないでしょ。」

「お前なあ・・・!」

「やめろ。」

健太は、殴りかかろうとするとおるを止めた。

「ほっとけ。」

そして、着席のチャイムが鳴った。



「ホント仲野だけこのクラスからいなくなればいいのに!」

とおるは言った。

「我慢しろよ。」

健太は一時間目の準備をした。

「次、移動教室だぞ?」

「え、理科?」

「おう。」

とおるは、理科の教科書を机の中から引っ張り出して

「行くか。」

と言った。

「おう。」

「そんでよ、仲野も花ヶ咲なんだろ?」

< 10 / 80 >

この作品をシェア

pagetop