みんなが好きだから、
乙女は乙女なんだ

7月10日に修学旅行を控えている三年生。

6月に入ってからは、生徒たちも忙しそうだ。



「今日でちょうど一か月前じゃん!」

北野は言った。

「だねー!事前調査も終わったし今日録画しておわりじゃん!」

録画。

というのは、各班の調査結果をビデオにしてまとめてバス移動で流すために撮ることだ。

バスを乗るのは、東京駅まで。

そこまでの移動時間にながすらしい。

毎年こんな感じらしい。

「なんか現代って感じだよなあ~小学校の修学旅行は模造紙だったよな」

と健太は笑った。





「よおし。じゃあ一班からいくぞー。」

と松本はビデオカメラを構えた。

こうみると一人の親として見えてしまう。

・・・が松本は独身である。

自称、モテ男らしいが。

そして、順々に一班から撮影が始まった。



控室では修学旅行の話題が絶えなかった。

「つーかよお、修学旅行ってさ小遣い3万だろ?」

翔は言った。

そう、修学旅行の小遣いは3万円までなのだ。

「俺、ぜってーそんな使わないや」

健太はひきつった顔をした。

「私も!でもいろいろ見るのに、普通に2000円はかかるよね。」

「ああ。まあな、そう考えるとちょろっと一万使っちゃうのかな~。」

「やっぱり小学生の三千円とはわけが違うな。」

みんな三万も多すぎると思っていたのだった。

「あ、でも部活とかにお土産あるよね~。」

まどかは言った。

「ああ、それ怠い。」

「私のとこは三年4人に後輩20人だからつらいものがあるわ~。」

とさかなが言った。

「バレーは大変だよなあ~。」

バレーは三年生の人数がかなり少ないのだった。

「お土産かあ~。鹿の毛とかでよくね?」

翔は笑った。

「いやいや、むしろ写真でいいよ」

< 30 / 80 >

この作品をシェア

pagetop