みんなが好きだから、


とおるはギョッとした。

三時だ。

昨日下校が5時最終下校。

南の家は遠いから6時くらいについただろう。

おしゃべりもするだろうし。

それから風呂はいったりしたら急いで、8時だ。

それから寝て、二時に起きて、三時の電車に乗る。

「片道、7000円近くするんだぞ?」

とおるはやっと事の重大さに気づいてきた。

「7000円は学校ではだせないし教師からも出せない。」

「・・・。」

「お小遣いは、3万円までだ。南がそれぴったりに持ってきてるとは限らない。」

とおるは、胸が痛くなってきた。

「南の班は、必要経費が1万2千円だ。それから7000円プラスされた。三万持ってきてても、もう一万円しか残ってないんだぞ?」

「・・・。」

「お前はそういうことを考えてできねぇのか!!!!」

松本はまた怒鳴りつけた。

とおるももう泣きそうだった。

「楽しく修学旅行いきたくねぇのか?人貶めて、苦労させて楽しいのか?」

松本はため息をついてから話を続ける

「そんな程度の人間が本当の楽しみを味わえるはずねぇだろ。」

そう冷たく言い放つとバスのなかに入っていった。
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