みんなが好きだから、

まぁ、就寝時間といっても、すぐに眠る人は多くはなかった。

「よっしゃあああああ。」

「静かにしろっ!」

健太が大声を出したとおるに小声で言った。

男子部屋は、亮、森和也以外トランプをしていた。

ババ抜きで、とおるの持っていたババを菊大輔が引いてしまったのだ。

「くっそお。」

菊ちゃんは、自分の手元のカードをババがわからないように混ぜた。

「無駄無駄。」

そういって、健太が引いた。

「おーまいがあああああ。」

大声で叫んだ健太のあたまを健がたたいた。

「よっしゃ。」

菊ちゃんは全力でガッツポーズをした。

「それで、明日班行動どうする?」

とおるは、ゲーム中に同じ班の健にきいた。

「どうする・・・って?」

健は尋ねた。

「タクシーの運転手さんへの挨拶。健やってくんね?」

「それは班長の仕事だろー。」

健は、あきれながら葉月のカードをひいた。

そして、そろったカードを円の中心に出した。

「とりあえず、考えとけよ。」

「へーい。」

すると、ドアが閉まる音が聞こえた。

「やべっ!」

それに気づいた吉田翔はみんなに

「隠れろ。」

と小さな声で言った。

翔は、中心のカードを全部自分の布団の中に入れた。

「ごるあああああ。」

松本だ。

「とおる急げっ。」

トランプを落としてしまったとおるに健太は言った。

廊下にドスのきいた足音が響く。

「よしっおっけー。」

とおるは、自分の布団に隠れた。



B組男子部屋の扉があいた。

「起きてんのはどうせうちのクラスだろ。」

松本は、寝ているように見せかけているB組男子に言った。

その声に亮が起きてしまった。

「・・・あれ?」

亮は、枕元のメガネを手にとって自分にかけた。

「先生?」

「わりぃな起こして。」

松本は、めっそうもない顔だった。

「いえ・・・。もうそんな時間ですか?」

「まだ朝ではない。・・・・深夜だ。」

「じゃあなんで・・・?」

松本は、とおるの布団へ一直線。

「おきてるんだろおおおおおおお!」
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