みんなが好きだから、
「松本先生ちょっとやりすぎたんじゃないの?」
養護教諭、要先生が言った。
「そんなことありません。当然です。」
松本は、言い切った。
「今の時代にこんな先生いるんだね。」
要先生は笑った。
「これが僕のポリシーですから。」
「生徒たちの親になんにも言われないといいわね。」
「言ったら僕が言い返しますよ。規則を守っていないからだって。」
要先生は笑う。
「ちゃんと旅のしおりにも書いてありますし。」
そういって松本は、職員部屋に戻っていった。
「要先生。」
A組の担任の日下がやってきた。
「松本先生みませんでした?」
「さっき部屋にお戻りになられましたよ。」
「ありがとうございます。」
「どうしたの?」
「日村の退院が決まったそうです。」
B組。
日村晴香。
女子10番。
中学2年生のバスケの夏の全国大会で、突然倒れた。
夏休み中だったため休み明けで初めて日村が倒れたと知る。
日本脳炎。
おもに蚊によって感染する。
2週間、バスケ部は現地の九州の暑い気候に慣れるために現地入りした。
そのとき、晴香に感染したのだった。
発症は、6~16日かかる。
ちょうど試合のときに発症してしまったのだ。
すぐに近くの病院に救急車で運ばれ、診てもらった。
結果はきかされ、その病院で入院することとなった。
幸運にも九州に、親戚の家があったのでそこのひとたちに面倒もみてもらえていた。
そして、やっと医師から許可がもらえたのだ。