みんなが好きだから、
現像した写真だった。
束になってたくさん入っている。
「お・・・まえ?!」
「北野が土下座して頼んだんです。」
「ばかっそれいうなよ!」
とおるは陽子に言った。
「ふっふふ。」
陽子は笑っていた。
松本も笑っていた。
すると、タクシーの運転手さんが来た。
「忘れ物。」
北野は振り返ると、八橋を持った運転手さんが見えた。
しかもかなりの量だ。
でも確かに北野たちの乗っていたタクシーの運転手だ。
「え?違います。」
運転手さんはにっこりして、北野の手をひっぱり八橋の箱を持たせた。
そして、陽子に重い袋を持たせた。
「いいえ!悪いですよ。」
松本が運転手に言った。
「いいんだ。この子たち、自分たちのルートをめっちゃくちゃにして京都の名所をたくさん回ったんだよ。おかげで、じっくりみれなかったと思うし、お土産も大して買えなかったんだ。」
「・・・そうなのか?」
松本は、悪いことをしたな
と思った。
「これは、細やかだけどそんな君たちへの感心と尊敬の意だ。」
「「「「ありがとうございますっ」」」」
みんなでお礼を言った。
「お前らもらうきかよっ!」
松本はつっこんだ。
「いいんだ。本当に。」
運転手さんは笑った。
「先生、いい生徒持ってるな。」
そう言うと、
「今後ともごひいきに」
と言ってタクシーに戻っていった。