先輩と私と彼と。
結局、バスケ部には入部していないけれど。
廊下ですれ違うとき。
同じ電車に乗っているとき。
そんなときは、自然と先輩を目で追ってしまうようになって――
そしていつの間にか先輩が好きになっていた。
いつも友達に囲まれて楽しそうに笑っている先輩。
そんな先輩だから、好きになったのは当然だったように思う。
***
「綾瀬!」
先生から突然名前を呼ばれハッとする。
授業を聞いてないのがバレたのかな…?
びくびくしながら
「はい」
返事をする。
「桐原が寝てるから起こしてやってくれ」
「へ?」
桐原……私の後ろの席の男子だ。
後ろを振り返ってみて…納得。
机に突っ伏し、気持ちよさそうに眠っている彼がいた。