先輩と私と彼と。
「なんスかあ?先輩」
桐原が声をあげると、四人の先輩達が教室へはいってきた。
「今日の朝ミーティングがあったこと、お前忘れてるだろ?」
一人の先輩が言った。
桐原はしまった、という表情をする。
「はぁ、馬鹿だなあ」
柚希は溜め息をついた。
「今朝男子バスケ部がミーティングやってたことくらい、あたしだって知ってるのに」
その言葉に私達は苦笑する。
先輩に囲まれながら、桐原は両手を合わせて
何度も頭を下げていた。
先輩たちはその様子を見て笑っている。
といっても、馬鹿にして笑ってるわけじゃなくて。
多分ふざけてるだけで、
元々そんなに怒ってるわけじゃないんだと思う。
みんな仲が良いんだなあ、となんだか微笑ましく見つめてしまう。
「練習の前に体育館掃除しとけよ!」
「えー、嫌っスよ先輩!勘弁してくださいよぉ」
そんなやりとりをしていたとき。
「あれ、橋本じゃん」
一人の先輩が私たちの方を見た。
確かチャラいと有名な岡本先輩。
「お疲れ様でーす」
柚希が軽く会釈する。
橋本というのは、柚希の名字だ。