先輩と私と彼と。


「なんスかあ?先輩」

桐原が声をあげると、四人の先輩達が教室へはいってきた。


「今日の朝ミーティングがあったこと、お前忘れてるだろ?」

一人の先輩が言った。


桐原はしまった、という表情をする。




「はぁ、馬鹿だなあ」

柚希は溜め息をついた。

「今朝男子バスケ部がミーティングやってたことくらい、あたしだって知ってるのに」

その言葉に私達は苦笑する。




先輩に囲まれながら、桐原は両手を合わせて

何度も頭を下げていた。


先輩たちはその様子を見て笑っている。

といっても、馬鹿にして笑ってるわけじゃなくて。


多分ふざけてるだけで、

元々そんなに怒ってるわけじゃないんだと思う。


みんな仲が良いんだなあ、となんだか微笑ましく見つめてしまう。




「練習の前に体育館掃除しとけよ!」

「えー、嫌っスよ先輩!勘弁してくださいよぉ」


そんなやりとりをしていたとき。




「あれ、橋本じゃん」

一人の先輩が私たちの方を見た。

確かチャラいと有名な岡本先輩。


「お疲れ様でーす」

柚希が軽く会釈する。


橋本というのは、柚希の名字だ。


< 7 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop