トンネル
男のその言葉と同時に、赤ん坊は震える女の腕から離れた。

赤ん坊の泣き声が大きくなる。

男は名残惜しそうに赤ん坊の手を握る女を引き剥がし車へと突き進む。

赤ん坊を長いトンネルの中に置き去りにして。

「ごめんなさい!ごめんなさい!
ごめんね!」

トンネルの中に女の悲鳴の様な声が児玉する。

若い夫婦はまた車に乗り、その場から離れた。

トンネルには赤ん坊の泣き声だけが響く。
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