One Night Lovers
 きつく抱き締められた腕の中でくるりと身を翻し、背伸びをしてケイゴの首に手を回した。

 胸がはちきれそうでもう我慢できないと思ったそのとき、ケイゴの唇が私の唇に重なった。

 お互いをむさぼるようにキスを交わす間に、ゆっくりとケイゴの手が服の上から私の身体を這う。

 私の身体はアルコールの効果も相まって、すぐさま溶け出しそうなほどに熱く火照る。今日初めて会った人だというのに、今はもうためらう気持ちはこれっぽっちもなかった。

 あんなに変だと思っていた金髪もこの薄暗い部屋の中では落ち着いた淡い色合いに見える。昼間はライオンの鬣のように立たせていたのに、湯上り後はふわりとした緩いウェーブのある長めの髪を下ろした自然な髪型だ。

 サングラスも眼鏡もないケイゴの顔は想像以上に美しかった。

 元彼もイケメンと騒がれているほどだから整った顔立ちをしていたが、それとは別の種類の、男性らしい硬さと彼の内面から滲み出る柔らかさを併せ持つ、とても魅力的な顔立ちだった。

 もしかすると元彼よりももっといい男かもしれない。

 ケイゴの首に回した手を支えに重心を後ろに傾け、ベッドの上に倒れ込む。

 私の真上ににある彼の瞳には妖しく艶っぽい光が揺らめき、その奥に私を欲して静かに燃え始めた炎が見えた気がした。
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