One Night Lovers
3.終わりのキス
結局私とケイゴが眠りについたのは空が白みかけた頃だった。
彼の長い手足に包まれている感覚はそう悪くなくて、いつまでもこうしていられたらいいのに、と思った。
出会ったばかりの人なのに、こんなに安心して全てを委ねられるのは、身を重ねた相手だからなのだろう。
身体の隅から隅までを愛撫され、幾度となく高みまで追い詰められて降参する。恋人と交わすときよりも濃密な行為のように感じたのは、彼との関係がこの夜だけのことだと思うからなのかもしれない。
目が覚めるとカーテンがほんの少し開かれ、その隙間から眩しいほどの朝日が部屋に差し込んでいた。
ケイゴは窓際で椅子に座ってケータイを見ている。私が目覚めたことに気がつくと「おはよう」と声を掛けてきた。
照れくさく思いながら返事をする。
「目は悪くないの?」
今も眼鏡をかけていない。ケイゴは一瞬困ったような顔をして、それから笑った。
「実は悪くない。でも眼鏡とかサングラスをしてると落ち着く」
「邪魔じゃないの?」
「普段は気にならない」
そういうものかな、と思いながら起き上がって服を着た。身支度が整ったところでケイゴが立ち上がる。
「行くの?」
「うん。まだ時間あるから、温泉入ってから朝食に行けそうだな、と思って」
「ああ、そうだね。じゃあ、ルリの連絡先教えて」
すごく自然な流れでそのセリフが出てきた。バッグを手に持ったまま、どうしようかと悩む。
彼の長い手足に包まれている感覚はそう悪くなくて、いつまでもこうしていられたらいいのに、と思った。
出会ったばかりの人なのに、こんなに安心して全てを委ねられるのは、身を重ねた相手だからなのだろう。
身体の隅から隅までを愛撫され、幾度となく高みまで追い詰められて降参する。恋人と交わすときよりも濃密な行為のように感じたのは、彼との関係がこの夜だけのことだと思うからなのかもしれない。
目が覚めるとカーテンがほんの少し開かれ、その隙間から眩しいほどの朝日が部屋に差し込んでいた。
ケイゴは窓際で椅子に座ってケータイを見ている。私が目覚めたことに気がつくと「おはよう」と声を掛けてきた。
照れくさく思いながら返事をする。
「目は悪くないの?」
今も眼鏡をかけていない。ケイゴは一瞬困ったような顔をして、それから笑った。
「実は悪くない。でも眼鏡とかサングラスをしてると落ち着く」
「邪魔じゃないの?」
「普段は気にならない」
そういうものかな、と思いながら起き上がって服を着た。身支度が整ったところでケイゴが立ち上がる。
「行くの?」
「うん。まだ時間あるから、温泉入ってから朝食に行けそうだな、と思って」
「ああ、そうだね。じゃあ、ルリの連絡先教えて」
すごく自然な流れでそのセリフが出てきた。バッグを手に持ったまま、どうしようかと悩む。