One Night Lovers
簡潔な文章で嫌な感じはしなかったが、送信者が誰だかわからない。
隣の席のネネに見つからないようにこそこそと社員検索をし、ようやく相手を突き止めた。
フロアも別で仕事上もほとんど接点のない部署の男だった。
いつどこで見られていたのかと訝しく思いながら、席を立つついでに実物を確認しに行く。
「あの男か。秋の異動でアメリカ研修から帰ってきた人だね。ここのフロアの女子が騒いでた」
背後に人がいるとは思ってもみなかったので、さすがに驚いて肩がビクッと震えた。
振り向くとネネが腕を組んで相手を物色している。
「な、なんで!?」
「昨日、何とかシンジという男からメールが来たの。『あなたの隣の席の女性には恋人がいますか?』って」
どういう男だ、と呆れてしまい急に気持ちが萎えた。
ネネもネネだ。それならそうと昨日教えてくれればいいのに、と思う。
「それでなんて返事したの?」
「『特定の恋人は3ヶ月近くいない模様』と正直に書いたよ」
感謝すべきか怒るべきか迷い、最終的に深くため息をつくことしかできなかった。
ネネはニヤニヤと笑って私に耳打ちする。
「結構いい男だし、試しに付き合ってみたら? もしかしたら占いのオバさんが言ってたのはあの男のことかもしれないし」
「占いは、もうどうでもいいよ」
ネネを振り切って先に自分の部署へと戻った。
隣の席のネネに見つからないようにこそこそと社員検索をし、ようやく相手を突き止めた。
フロアも別で仕事上もほとんど接点のない部署の男だった。
いつどこで見られていたのかと訝しく思いながら、席を立つついでに実物を確認しに行く。
「あの男か。秋の異動でアメリカ研修から帰ってきた人だね。ここのフロアの女子が騒いでた」
背後に人がいるとは思ってもみなかったので、さすがに驚いて肩がビクッと震えた。
振り向くとネネが腕を組んで相手を物色している。
「な、なんで!?」
「昨日、何とかシンジという男からメールが来たの。『あなたの隣の席の女性には恋人がいますか?』って」
どういう男だ、と呆れてしまい急に気持ちが萎えた。
ネネもネネだ。それならそうと昨日教えてくれればいいのに、と思う。
「それでなんて返事したの?」
「『特定の恋人は3ヶ月近くいない模様』と正直に書いたよ」
感謝すべきか怒るべきか迷い、最終的に深くため息をつくことしかできなかった。
ネネはニヤニヤと笑って私に耳打ちする。
「結構いい男だし、試しに付き合ってみたら? もしかしたら占いのオバさんが言ってたのはあの男のことかもしれないし」
「占いは、もうどうでもいいよ」
ネネを振り切って先に自分の部署へと戻った。