One Night Lovers
 心の底からがっかりした様子でネネはソフトクリームのコーンを齧った。

 それを横目に見ていると、なぜか急に嫌味を言いたくなる。


「それに、あのレベルなら私は別に……」


 サクサクとコーンを齧る音が早くなり、全部を口に放り込むとネネは私をチラッと見た。

 その冷たい視線は容赦なく私に突き刺さり、心の傷を更に深く抉られたような気分になる。


「ルリはそうだろうね。だけど、あの男と同じレベルの男を探そうなんて無謀!」


 ため息が出た。

 ネネの言うとおりだった。元彼と同じレベルの男がそこらへんにいるわけがない。

 そんな険悪なやり取りをしている私たちの後ろから、突然「すいません」という男性の声がした。

 振り返ると、こんがりといい色に焼けたスポーツマンタイプの男性が立っていた。

 ネネと私を見比べて、それから満面に笑みを浮かべる。


「二人で遊びに来てるの?」


 すぐにこれはナンパだ、とピンと来た。

 ネネの顔にパーッと赤みが差す。もう彼女の視線は声を掛けてきた男性にピタリと貼り付き、目からは強い光線が放たれていた。


「そうなんです」


 普段より一オクターブくらい声が高い。

 男性は陸上選手のような細身の体型でもろにネネの好みだった。

 彼はネネの返事にますます気をよくしたようで、ネネのほうを向いて会話を続けた。


「こっちも男二人なんで、よかったら一緒に遊ばない?」

「いいですねぇ」
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