One Night Lovers
「俺に興味ないって言った。あれ、ウソだよね」

「え、あのときは……なんていうか、その……」


 そういえば遊園地で本人に向かって思いっきりそんなことを言った気がする。

 動揺する私を見てケイゴは小さくため息をついた。


「あのときはもうルリに心を奪われてたな。『ウソつきは泥棒の始まり』って言うけど、本当にルリは泥棒だよ。ドラマの撮影中もずっとルリのことばかり考えていて、もう新しい彼氏いるのかなとか……。そしたら本当にデートしてるし」

「何よ、泥棒はケイゴのほうじゃない! 最後にあんなキスとかしたら、ケイゴのこと忘れられなくなるでしょ!?」


 どうして私が責められなくてはならないんだ、と憤慨しながら、思っていたことをぶつける。

 するとケイゴはほんの少し首を傾げて見せた。


「俺のこと考えてくれてたんだ」

「考えるどころか、毎日毎日テレビの中のケイゴを見て生活してました。悪い!?」


 これだけは言わないで秘密にしておこうと思っていたのに、つい勢いでバラしてしまった。

 情けないと思いながら上目遣いでケイゴを見るとおでこをぽんと軽く叩かれた。


「それじゃあまるで俺の熱烈なファンみたいじゃん」

「だって実際そうなんだもん」

「だから平気で他の男とデートしてキスできるんだ?」

「違うってば! 別にあの男を好きなわけじゃないし、キスだって無理矢理された事故なの!」
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