神様のイジワル
*5
次の日の夕方、2人が出会った海へ行き、優心を呼び出した。
何分かして、優心が来た。
顔を見ると、目が赤く腫れ上がっていた。
優心も私と同じことを母に聞いたのだろう。
受け入れがたいが、真実だ。
私は意を決して、口を開いた。
「優心、あの――――」
言おうとして、口を止められた。
私の言いたいことが、わかっているのかな。
聞きたくない、と目をつむり、海の方向に歩いていった。
「ごめんな。弟で…」
前を向いたまま話す優心。
少しばかりか、声が震えていた。
それでも優心は話を続けた。
「もっと早くに知っておけば、思い残すことはなかったかもしれないのにな。」
私は優心のほうに向かってもう一度、決心して言った。
「優心!聞いて!やっぱり――」
「あーーーーーっ!!!」
急に叫んだかと思えば、海に向かって走り出した。
「くそっ!くそっ!!くそーっ!!なんで俺は紗那の弟なんだよ。なんでだよ。何で俺達はそんな運命を歩かなきゃいけねぇんだよ、俺は紗那がいねぇと生きていけねぇのに…っ!」
海の水をバシバシたたき続け、心に思っていたことをすべて吐き出していた。
そんな優心の姿を見て、私は膝から崩れ落ち、目からは涙をこぼし、声を出して泣き叫んだ。
お互い声にならない声で神様に訴えるように叫び続けた。