変態教師と私。【完】
濱浦の温もりが残る手で兄貴の手を握ると、握り返してくれた。



「生きて…。それだけで良いから…」



私は左手で携帯を出し、父親が勤める病院の医局に電話をした。



『どうしたんだ。こんな所まで』



「お願い…お願い…。兄貴を助けて…」



『“助けて”?心愛、愛斗に何があったか説明しなさい』



「兄貴が…兄貴が…っ……」



話が出来ない私に、救急隊員の人が、父親に説明してくれた。

耳に入って来たのは、「すぐに来てくれますよ」と言う、隊員さんの声。

病院に着くと、先回りしてたらしい警察官に止められた。

私も、傷害罪に問われるかも知れないみたいだ。
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