変態教師と私。【完】
「俺は…昔から自分の名前が嫌いで、ずっと親元のニューヨークから離れるのが夢だった」



濱浦の顔は切なげで、私も同じように、車だけを目で追う。



「母親が俺を産んだ時に死んで、乳母に育てられた。血の繋がりがなくても幸せで楽しくて、母親なんていらなかったというのに5歳の時、親父が再婚した。
…喜ばない、なつかない俺を、あの女は嫌った」



そこまで話して、濱浦は深くため息を吐いた。

少し寝たからか、酔いはちょっとは醒めたらしいけど。

表情は、怒りと悲しみに包まれて居て。

ただ、相槌を打つしか出来ない。
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