魔法の指
その1っ!
私の彼氏さん。
「今回はどうする...?」
あまーいあまーい声が耳元で聞こえる。
私の大好きな彼氏さんです。
「少し痛んじゃったのかな?
毛先切ってほしいんだー。」
そんな彼の目を鏡ごしに見ながら言う。
あ、はじめまして。私の名前は一ノ瀬文花。
高校三年生です。
後ろの長身のカッコいい人が私の彼氏さん。
「...髪の毛伸ばさないの?」
ふと、彼が私の短い髪の毛をさらり、と撫でる。
何度も考えた事があります。
髪の毛を伸ばしたら女の子らしくなるかな、とか。
でも、私には肩にかかるくらいが一番似合う気がするんです。
.....というか、そういう私の意見を知りながらよく言えますね、舜さんは。
「これがいいのー。欲しくなったらウィッグ被るもん」
またまや鏡ごしに彼の目を見つめて答える。
すると、舜さんはニコリ、と笑って私の首に顔をしずめる。
「俺ね、髪の長い色っぽい文花を抱いてみたいんだ。」
.......と、まぁなんという大胆な。
ふぅ、
と私の耳に息を吹きかけてくる。
が、
「今日は二人でお出かけなのー!
そんな事してる場合じゃないのー!速く髪の毛切っちゃって!
舜さんとお出かけさしたいもん!」
私はそういうと首もとにあった舜さんの頭を優しく叩く。