泡沫-ウタカタ-



ハルはダイからなかなか
視線を外さなかった




そんな様子をナギは
窺っていたのであるが、
どうもハルがダイを見詰める
眼差しが気に掛かった




妙に熱を感じるのである




ナギにはそれが何だか
分からなかったのだが、
思い切って問い掛けた




「ハル…どうしたの…?」



「かっこいいね!三鷹!」




笑顔でナギに顔を
向けているようであるが、
明らかにダイに
向けられた視線である




ナギがどう返答するべきか
考えているとハルは
更に言葉を発した




「あはは…え〜っと…
私…三鷹のこと…好きに
なっちゃったかも…。//」




そう曖昧に告げるハルだったが、
頬は赤みを差していた




「……ハル…。」



「ナギ…!これって
やっぱり…恋なんだよね…?
何か…凄くドキドキする…。
自然に三鷹のこと
見ちゃうよ…!」



「……え…えぇっ!?
恋って…そんな突然…。」



「突然?恋なんて
そんなもんでしょ?」



「…そ…そうなの…?
私恋愛のこと全然
知らないから…。
ドキドキするって言われても…
分かんないよ…。」



「え……じゃあ…今まで
恋愛したこと無いの…?」



「無いよ…。
だから知らなくて…。」



「そっか…。まぁでも…
そのうち分かるよ!
どんなに知らなくても
恋っていうのは勝手に
来ちゃうものだから!」



「うん…。それで…
ハルは三鷹が好きに
なっちゃったの…?」



「そうだねぇ…。
好きになっちゃった…。」




はっきりと自分の気持ちを
理解してすんなりと
受け止められるハルが
ナギにはとても大人に思えた




ハルの存在が遠く
なっていくように感じた
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