泡沫-ウタカタ-
「あった…2組…。」
満開の桜並木を潜り抜けて
次々にやって来る高校生徒
入学式を終えたばかりで
まだ緊張が拭えない
今年の新入生だった
制服も鞄も新しく乱れも無い
ボードに張り出されている
自分たちの名前とクラスを
確認する生徒たちはこれからの
生活に胸を膨らませていた
たった今確認を終わらせ、
教室へと向かう女子生徒も然りだ
彼女の名前は
─瀬川 渚(セガワ ナギサ)─
肩より少し長いストレートの
黒髪をした極普通の高校1年生だ
やがて彼女は自分のクラスの
元へと走っていった
彼女はこれから生活していく
新たな環境にどのような思いを
馳せていたのだろうか?
未来は誰にも予想
することは出来ない
まして激しい苦難に
満ちた未来など誰も予想
したくはないだろう…