泡沫-ウタカタ-
「学級委員の立候補者
いませんか〜?」
一通り自己紹介も済み、現在は
委員を決めている最中である
基本的に責任を問われる
(─と思われ勝ちである)
委員は余り積極的に
挙手する者はいない
いつまでも立候補者が出ない
場合大抵は指名制になる
教師もなるべく自分たちの意見で
選出したいため困惑していた
「………あの……
私やりますよ…?」
クラス全員の視線が
声の主へと集められる
「……瀬川さん?
引き受けてくれますか?」
「はい。」
彼女は特別活発という
訳でもなかったが、
クラスの空気が次第に
張り詰められていくのに
耐え切れなくなったのだ
「…では女子からは瀬川さんで。
男子からはどうしますか?」
少しの沈黙が訪れた時だった
「……じゃあ…はい…。」
おずおずと挙手する生徒は
明るい茶髪が特徴だった
名前は─三鷹 大輔(ミタカ ダイスケ)─
「……じゃあ学級委員は
三鷹くんと瀬川さんで
いいですか?」
クラスは異議無しというように
頷き、拍手をした
それからはスムーズに進み、
無事に全委員が決定した