泡沫-ウタカタ-
「瀬川さん?」
「……ん?」
顔を上げると栗色で緩い
カールが掛かった髪型の
女子が前に立っていた
「さっきはありがとう。」
「……さっき…?
私何かした…?」
「学級委員だよ。引き受けて
もらっちゃったからさ。」
「あぁ〜…大丈夫だよ!
今までもやったことあったし
別に絶対嫌って訳
じゃなかったからさ。」
「瀬川さん結構成績
上位で入ったんでしょ?
先生から期待
されてるみたいだよ!」
「え…そうなの?
全然知らなかった…。」
「その代わり三鷹くんはあんまり
勉強出来ないみたいだけどね。」
「…三鷹くん…あぁ…
男子の学級委員ね…。」
「彼はどっちかっていうと
スポーツ推薦
みたいなもんなんだよね。
うちの学校バスケ強いでしょ?」
「確かにそうだね。じゃあ
三鷹くんはバスケ上手いんだ。」
「そうなんじゃない?
でも何でそんな人が
学級委員になんて立候補
したんだろうね〜。」
「うーん…早く終わらせて
帰りたかったんじゃないの?
仕事は私に押し付けて
きたりして…。」
「あはは!瀬川さんしっかり
してそうだもんね!」
「そんなこと無いよ〜!!
…っていうか何でそんな
生徒のこと知ってるの?」
「実はうちのお父さん
ここの先生だから。
3年1組だけど。」
「あ…そうなんだ!
えっと…ごめん。
名前何だっけ?」
「あ…ごめんね。
遠藤 千春(エンドウ チハル)だよ。
ハルって呼んでね!
瀬川さんのことは
何て呼べばいいかな?」
「…じゃあ…ナギって呼んで。」
「分かった!宜しくね!」
ナギにとってハルは
高校生活最初の友人であった