【仮】首輪を,キミに。
そういえば,透には彼女とかいないのだろうか?
気になったので聞いてみることにした。
『透は彼女とかっていないの?』
すると,
『いないよ?それにつくる気も更々ないから。』
とさらりと言われた。
『なんでだ…?』
ぼそり。
透に聞こえない位の声量で呟く。
しかし透には聞こえていたようで…。
『だって,世憂姉にまた何かあっても彼女といたら助けられないじゃん?そーゆーの俺は嫌だから。』
ニッコリと効果音が付きそうな無垢な笑顔で言い…
『世憂姉が何よりも大事だから失いたくないんだ。』
と,こっちが恥ずかしくなるような台詞を言われてしまった。
『そそそっか。ありゅが…ありがとうっ』
テンパってしまって舌を噛む。
『どういたしまして。ほら学校行こ?』
透はそんなあたしを包み込むような笑顔で見つめていた。
『うん。早く道覚えなきゃ』
あたしが照れ隠しにこう言うと,透はさっきとは違う哀しげな…痛々しい笑みを溢す。
この笑い方も妙に胸に突っ掛かったが,あたしは気付かない振りをした。