【仮】首輪を,キミに。

『お,…お帰りなさい。』

『うん,待たせちゃってごめんね。今からお風呂沸かせるから待ってて。』

『あ。…あたしやるよ?どうせ暇だし,何より透に全部やらせるのは悪いし…。』

本当の事だ。

退屈は人を殺す,とは誰の台詞だっけ?

とにかく暇過ぎる。

だから申し出たのに

『……しなくていいよ。俺が全部やる。世憂姉は楽にしてて?』

と,丁寧に断られてしまった。



運がよければここから出ることも出来るかもしれない。

そんな浅はかな考えは優しすぎる透の気遣いによって簡単に打ち破られてしまった訳だ。



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