記憶混濁*甘い痛み*2

その白い滑らかな胸の奥に、条野への愛情を燃やしながら……


「……」


そして芳情院は、さらに溜息をつきながら、指輪を指の一番奥まではめ込むと。


「……くだらないな。こんなモノ1つで、何が守れるという訳ではないだろうに」


と、言って、つまらなそうに苦笑った。






と、そこに。


「は!よーく解ってるじゃねぇか、芳情、その通りだ」


と、空也の声。


空也はドアを半分ほど開けて、病室内を覗き込んでいた。


「……代表」


芳情院は空也の存在に気付くと、いつもの様子に戻って。


「いい加減、禁煙されたら如何ですか?友梨が嫌がるでしょう」


と、空也を皮肉ってみせた。


空也は、はは。と、楽しそうに笑うと。


「オマエこそ、友梨がこうなる前は愛煙家だったろーがよ。な、久しぶりにやらねぇか?1人で吸ってるとよ、守衛のにーちゃんから声かけられんのよ」


と、言って、顔をしかめて見せた。


芳情院は、ハテ?と、言う顔をした後に、すぐ眉をしかめると。


「代表の恋人役はゴメンこうむります」


と、言って、冷たい視線を空也に送った。
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