記憶混濁*甘い痛み*2

------芳情院が帰ってから、友梨はロザリオを首にかけ直した。


本来ロザリオは手を組んで祈るもので、首から下げるものではないのだが、友梨は小さい頃からの習慣で、こうでないと落ち着かないのだ。




結局、お兄様に聞く事が出来ないままだった。


友梨は、小さく溜息。


気になっていたのは  


「…友梨のロザリオ…いつお兄様に渡したのだったかしら…」


……と、いう事。




先刻、図書室で、条野さんのロザリオを見て気になりだした。

お兄様が…ロザリオをしているのは見た事がない。

確かに、お兄様はクリスチャンではないし、私が送ったロザリオを必ず身につけなければイケナイという事はないけれど……でも。


お兄様の性格であれば 肌身離さず、身につけていてくれそうなものなのに。


それに指輪の事も気になっていた 


「どうして友梨だけ2つしているのかしら…女性だから?友梨がそれを、ねだったの?でも…」


何だか、変だ。

下の指輪は少し緩く、その指輪が外れないように、上からはめた指輪で押さえつけているみたいで。


「…どうしてかな…」


気になる。

気になる。


覚えていないから、余計に。
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