記憶混濁*甘い痛み*2
そして、和音も。
自分にすがりつく友梨の姿を見て。
先ほどの、自分の声に意識を取り戻す、友梨の様子を見て。
もう、この先。
友梨が。
酷い記憶障害を起こすような事など、ない、と。
自惚れながら、思ってしまっていた。
友梨は、自分を求め、自分は、友梨を求めている。
友梨の記憶を混乱させるのは、強い悲哀、苦悩、恐怖、衝撃等の、精神的打撃。
だとしたら。
今後。
オレと、友梨が、2人でいる限り。
友梨の記憶がぶれる程のショックは、もう感じさせたりしない。
……今、残る。
芳情院さんとの痛みも。
友梨が、口を割らない限り。
オレも、知らない、振りをして。
友梨の、心と、身体の傷が癒えるまで。
焦らずに、ただ、静かに。
見守って……
見守って……
幸せに------