記憶混濁*甘い痛み*2
実際に離婚問題に発展する様な状態にまでなるとは、思ってもいなかった。
……自分は。
友梨を、愛しているから。
友梨を、知り尽くしているつもりで、いた。
けれど。
------自惚れが、強すぎた。
オレは友梨の事など、半分どころか、ほんの少しも、解ってはいなかった。
苦悩や悲しみだけでなく。
恨みや、憎しみと言う、どす黒い感情も。
友梨はちゃんと、持っていて。
自分自身を責める、その裏側で。
オレを、芳情院さんを、そして因襲に捕らわれる深山咲を、自分を縛りつける家族を、見てみぬふりをする使用人を、所詮『たにんごと』でしかない友人達を。
憎んで、憎んで、憎んで。
恨んで、恨んで、恨んで。
そしてそんな自分に絶望して、ただひたすらに。
それを自分の中で『たにんごと』にする術を探して、探して、探して。
いつも精神的な自殺を、はかる準備を
進めて、いたというのに。
自分は、そんな事すら気付かずに。
優しい、彼女の微笑みに。
幸せを感じてくれているのだと
思いこんで。
友梨を、愛するが故に。