記憶混濁*甘い痛み*2
『……友梨……』
そう、名前を。
夢の中で、呼ばれた気がした。
夢の、中、で?
いえ。
いいえ、違う。
夢の、中では、なく。
現実の世界から。
『ゆうり』
と。
甘く、切ない。
私の、大好きな、声の、トーンで、綺麗な、イントネーションで。
優しく、優しく。
けれど、切なく、辛そうな響きで。
『ゆうり』
と。
ねえ?
コチラの世界に。
私を、呼んだ?
友梨は、ベッドに横になったまま、瞼をゆっくりと開いた。
友梨がパニックを起こさないようにとの配慮から、病室内は夜中でも昼間のように明るい。
ぱちくり
瞬き。
ココ ビョウイン
瞬き。
ワタシ ハ ジョウノ ユウリ
瞬き。
カズネセンパイ ニ アイタイ アイタイ アイ タ イ
涙。
涙。
デモ アエナイ
涙。
涙。
涙。
ジョウノユウリは、両手で顔を覆って、涙が止まるのを静かに待った。
そして