―MESSIAS―
「てか、あんた何その怪我?」
笑い飛ばすかのように千花は言った。
「これ?ドイツに行ってたじゃん、そこで、仲良くなった友達の家でバーベキューやってたら、車が突っ込んできてね。」
「笑って言うことかよ」
「何心配してくれてんの?」
「そんなわけないでしょ」
「あっそ」
端から見ればきょうだいげんか、でもホントはそれすら許されないのだ。
「ねぇーみんな元気?」
「元気よ。でも、涼平が・・・薫さんと婚約したんだって」
複雑そうに言う千花とは対照的に
「ふーん。」
あたしはどこか、冷めていた。
「涼平優しいから・・・あのヒトとの関係・・・見て見ぬふりをするんだって」
確かに涼平は優しい、それは一番実の妹の千花が知ってる。
だから、辛いんだろう。
こんな形の結婚じゃなくて、もっと涼平が幸せになれる結婚を望んでるんだろう。
でも、アノ人達が決めたことだから・・・