シブヤクーロン
ギリギリ
 
 ホームレスらしき人が、道ばたのゴミ山から残飯をあさってた。


食べられるものがなかったようで、次に反対側の自販機のおつり口に手を突っ込んでた。 
 

地面に突っ伏してお金を探しだす前に、手持ちの57円をあげようかとちゅーちょした。


あたしは57円なんてしょーもない額はいらない。
余計惨めになる。


ジャラン!と投げつけた小銭に、おじさんは小さな声で何度も何度も

ありがとう
と言った。
 


無一文になったあたし
その日から、夜ひとりでお客を取る生活が始まった。


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