シブヤクーロン

「ゆりちゃんずっと家にいるんだって?あいつが言ってたけど。テレビとか見て過ごしてるの?」 
 
「最近見ないなぁ。なんか寝てばっかりで、いつもちょうどニュースの時間に起きる。強盗とか殺人とかばっか。そんなの見たくない‥」



「あのね‥タカ殺されたの」
 
 
 
えっ?なにそれ‥
昨日も電話はあったのに。
今日はお礼したかったのに。



「もうすぐ警察来るから、あたしんち来て!ごめん。話はそれから!」


なにがなんだか分からない。
美麗さんは急にあわただしく部屋中片付けて、あたしがいた痕跡を消し始める。

あたしはただぼーっとしてしまう。


何にも分からなかった通りすがりの男だったけど、ひとつの命が消えたのがショックでたまらない。


幼いあたしは、初めて起こった身近な人の死にただ呆然としていた。

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