シブヤクーロン
美麗さんのおうちは、渋谷の隅にあった。
駅だと神泉のが全然近い、奥のほう。
なんだかお洒落な事務所みたいな、白いタイル張りの一軒家だ。
これまたちょっと高級な住宅街‥。
おじさんと住んでるって、旦那さんなのかなぁ。
「ごめんね。慌ただしくて。」
「いえ‥あの‥」
「心配しなくていい。智子‥こいつな、美麗からあんたを預かるって聞いたから、俺は明日出ていくよ。」
「ぇ、だって旦那さんじゃぁないんですか?」
「うふ。ぁたしはお妾さんにしかなれないのよ。」
おめかけさん?なあに?
だからだからぁ‥
もう見たことない風景ばっかだから‥。
それに二人はお茶やお菓子出してくれて、タカのことなんか気にしてない様子。
いつ、逃げたらいいの。なんだかめちゃくちゃ明るい家庭なんだが。