シブヤクーロン
「あっ、お腹空いてる?ご飯にする?」
「いや‥あの‥タカさんは‥」
あたしから切り出すと、おじさんが話し始めた。
「タカなぁ‥昼頃やられたみたいだ。俺の名刺持ってたから呼ばれて行ったんだけどさぁ、まだ何にも分かんねぇ。四時間拘束されて聞かれるばかり。こっちが知りてぇっつの。」
「どんなだったんですか?その‥状況‥」
「公園のトイレでさ首から血ぃ流してたらしい。犯人は、まだ。」
「本当に何があったのかしらねぇ。恨み買うような奴じゃないし、通り魔なら分かるけど。」
本当にこれだけだった。やっぱり二人は悲しむ様子なんか全然なく、あんたらそれでも人かいなみたいな。
タカも美麗さんもおじさんのことも分からないまま、あたしはぼけーっとするしかなかった。
しばらくして美麗さんが、ソファでぐったりしてるおじさんに毛布をかけて、あたし達も寝ましょうってことに。
あたしは美麗さんと大きなベッドに寝ていたけれど、夜中に起きると彼女はいなかった。
そしてリビングからは、大泣きしてるふたりの声がして、なんとも言えない気持ちになった。