シブヤクーロン
結局タカの家にいた日々と変わらない。
美麗さんはおこづかいでなく、きっちりお給料として前払いでくれたけど、所詮夜の人かと不審は募るばかり。
それでも家に帰るより、男の家で毎晩お勤めするよりいい。
「今日ね、新入りちゃん来るから。神田って子が来たら入れてね。」
聞くとその人は、あたしと同じ17さい。やっぱり家出中に拾ったんだとか。
「今日は朝から出かけるの。あとはよろしく~」
ちょっと嬉しかった。すれ違い生活の美麗さんより、友達になれるかも知れない。
携帯も出会い系もsnsもなかった時代。
初めて会う女の子には、かなり緊張したけど。それがなんだか良かった。
”ピンポーン”
ドアから覗くと若い女の子がいた。
あたしは名前を確認せずに開けた。
「神田ですけど‥吉川さんですか?」
なんかあたしと違うタイプの子。
あたしは美麗さんみたいなオミズばりに派手にしてんだけど(笑)
神田さんは流行りなコギャルって感じ。
「あたし前も智子さんち来てたんだ。他のうち紹介されたけど、ご主人さまが死んじゃって。」
ピンときた。智子さんという美麗姉に紹介されて死んだ人って、タカぢゃないの?