シブヤクーロン
 
 店に着くと、美麗さんはめちゃくちゃ笑顔だった。


「よりと会うの久しぶりだ~!」
 
「だぁね~!」
 
「ゆりちゃんとは、ゆっくり食事するの初めてかも知れないね。」 



 そう。夜の仕事してる彼女とは、生活リズムが違っている。
ゆっくり食事も話したこともなかった。
彼女のことを、会ったばかりの依子ちゃんに聞いたくらいだし。


 それでもいまいち分からない美麗さんと同席して、ちょっと緊張していた。



だってやっぱり綺麗なんだもん‥



「智子さん今日はどしたの?」
 
「聞いてよー!さっきパパに同伴してもらって店行ったのよー。パパ誕生日だから楽しみにしてたのに、パパよりお金積んでくれてるどっかの社長の誕生日をすでにやってたの!あまり見ない顔なのに。盛大にやってたもんだから、パパ遠慮して帰っちゃった。」
 
「なんで智子さんまで帰ってきちゃったのよ。」
 
「だって、今日はパパのお祝い頼んでたのよ。むかついちゃった。」
 
「え‥智子さんのお客さんは、そのパパさんの他にもたくさんいるでしょ?!」
 
「だってぇ~‥」



年下の依子ちゃんが、美麗さんをなだめている。いや、叱った?
ふたりは仲がいい。
あたしにとっては高嶺で謎な美麗さんも、こんな面があるのかと、なんだか安心した。



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