シブヤクーロン
依子を見てると、今日誕生日だって言えなかった。
自分のおじいちゃんが戦争で亡くなったとかでもないのに、戦争って悲しいねって言う。
あってはならなかった事
忘れちゃいけない事
当たり前の事だけど、依子もそんなこと思うんだなんて。
「依子えらいね。」
「えらくないよ~。気持ち悪いなあ。」
隣で寝ている依子が、照れて背中を向けた。
女の子の背中って小さくて可愛い。
背中をくすぐる。
依子が笑う。
脇をくすぐる。
依子が笑う。
いつも一緒にいるのに、今が一番楽しくて幸せだと思った。
小さな布団の上の大きな幸せ。
最高の誕生日になった。
依子と一緒なら、何だって出来る。
そう思った。