シブヤクーロン
姫?
さすが。歌舞伎町は怖い。なんだか怖い。
そこらじゅうに怖い人が立っていて、綺麗なお姉さんに声をかけていた。
スカウトマン達だ。
ぁたしも一度だけ呼び止められたが、顔を見た瞬間、
「ごめんね」
と言って去って行った。
周りのお姉さんと同じ格好して同じお化粧してるのに。
子どもって分かっちゃった。
ちょっと疲れて、電話ボックスにもたれて一服。
風は強いし100円ライターのオイルは少ないし、手こずっていた。
そしたら急にゴールドのライターが出てきて
「姫ちゃん、どうぞ。」
ゴールドによく似合う黒い手の男が、多分笑ってる。
怖くて下を向いてたら煙草をとられ、そして火がついて帰ってきた。
「すいません‥」
恐る恐る顔をあげると、やっぱり男は笑ってる。
口角をキュッと上げてあたしの顔を覗き込んできた。