シブヤクーロン
 
 翌日はまだ、朝から晩までホテルの仕事。
依子とすれ違いのシフトだったけど、彼女が珍しく環境の変化で体調を崩したための穴埋めをした。
 
 
 すっかり慣れた仕事は、あれこれ考えながらする余裕があり‥
ずっと美麗さんと安田の行く末を‥



今頃もう身柄を渡しただろうか‥
 
安田はなんて言って連れだしたんだろうか‥ 

黙認していた安田も捕まるんだろうか‥



 よく分からない女だったけど、一度は憧れたひと。
どうなっちゃうのか気になって仕方がなかった。



「辞めるなんてずいぶん急だねぇ。あんたたち体壊したかい?」



パートのおばちゃんが話しかけてきてハッとした。



「あんたも休んだら?依子の分あたしがやるから早く帰って寝なさいな。」
 
「えっ、大丈夫ですよう。今日は長いなあなんて考えてただけです。」
 
「だっていつものおせんべに手ぇつけないし。あたしなら大丈夫よ。帰って旦那と息子の世話するより、よっぽど楽だわ。アハハ‥」 

「すみません‥」



ただ考え事をしていただけなのだが、おばちゃんが寝ろ寝ろと言うのでお言葉に甘えた。
 
おばちゃんはなんか知ってるのか、にやにやしていた。



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