シブヤクーロン

 仕事に慣れるもなにも、ただひたすらひまに耐えるだけ。
大きく変わった点は、それだ。



「耐えらんない。一日中おっさんの裸見なきゃいけないなんて。」

「別に見てないし。仕事だからしょうがないでしょ。」

「出た、生真面目なゆりちゃん。」

「当たり前でしょう、仕事だもん。」

「仕事で裸が見れるって考えれば、おっちゃんがやれば良かったのに。」

「あの人が座ってたら誰も来ないよ(笑)あれ、でもあの人仕事なにしてんの?」

「ゆりのお迎えでしょ?まじうらやましい。あたしタクシーだよ?」




そう、夜中に帰るあたしを、安田のおっさんが迎えに来てくれる。
ゴツくて寡黙な感じにどうも慣れなかったけど、最近はちょっと大丈夫かな。
寝たふり、って技を覚えたから。




「相変わらず夜中まで騒いでるんだろう。昼間寝てから仕事行けよ?」

「うん…」

「どうしてお前には普通の仕事あてたかわかるか?」

「ん…」

「お前にはそれが普通だからだ。依子は水商売が当たり前なんだ。」

「うん…やりたがってたもんね。」

「あいつは後先考えず行動して自滅する。面倒見てやれ。」

「うん…」



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