シブヤクーロン

「姫ちゃん電車大丈夫?」 
「‥」
 
「まっ、家に帰りたくないんだろうけどな。」
 
 
 
 やっぱりこいつにも子ども扱いをされた。
だけど引くことなく、話し続けてる。
 
 
 
「歌舞伎町初めて?」

「はい‥」
 
「さっきからチョロチョロおどおどしてたし。その歳でひとりは危ないなぁ。スカウトされなくて良かったじゃん。」
 
 
 
 いかにもホストクラブの偉いひとみたいな身なりの男は、調子よく話かける。

ホストだからというより、普通の男にナンパされた感じ。
 
 
 
「煙草吸うなら酒は?」
 
「えっ、いや‥まぁ‥」
 
「よし!じゃっ、行くか!」
 
 
 
 あまりに早い展開に警戒していると、男はまたまた笑う。
 
 
 
「大丈夫だよ。俺はスカウトマンでも何でもないし、未成年と飲みに行くからには、下手なこと出来ないよ。」 
 
 

 怪しいに決まってる。


怪しい男ほど魅力的に感じてしまう女の性
そのままついていく。



男は挙動不審なあたしの肩を抱いて、ずっとポンポンしてくれた。


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