センセイ、好きです。
『あははっ。そりゃ災難だったねぇ』
電話の向こうで笑うのは私の親友、西山柚月(ニシヤマ ユズキ)
顔は可愛いけど中身はただの腹黒だ。
しかも学年トップの成績で運動神経も抜群。黙ってりゃモテるのに。といつも思う。
「もー笑い事じゃないよー。おこちゃまとか言われるしさぁ」
『でも、格好良かったんでしょ?その人』
「んーまぁ」
『じゃあ、いいじゃん!禿げたデブの親父に助けられるよりかマシっしょ』
「そうだけどー。てか例える対象が極端すぎやろ。でもさ、なぜか私の名前知ってたんだよね」
『知り合いなんじゃないの。その、セイさんだっけ?』
「私、大人の知り合いっていないし、セイって名前にも覚えがないし」
『名字は?知らんの?』
「知らない。セイとしか言わなかったし」
『誰なんだろーねぇ。直ぐ分かるって言われたんでしょ?』
「うんー」
『じゃあ、気長に待ってみたら。また会えるかもだし。ところでさ、そのセイさんて誰に似てんの?』
「柚月、面白がってるでしょ」
『当たり前。何か面白いことになりそーだもん。で、誰に似てるの?』
「面白いことって?んー…錦戸竜、かな」
『ちょ、マジで!?』
「竜ちゃんの方が断然格好いいけどー」
似てたよな、竜ちゃんに。