妄毒シチュー
ひとつめ
二階建てのアパート。
南側の出窓の窓枠に腰掛けると、お隣の一軒家のお庭が見渡せる。
ここはあたしのお気に入りの場所。
大きな窓を全開にして、窓から外に足を出して座る。
裸足の足をプラプラと揺らすと、指の間をくすぐる夏の風が気持ちいい。
柔らかな風が、お隣のお庭で昨日開いたばかりの梔子の瑞々しく甘いニオイを運んでくる。
「あー、暑い日に昼間からビール。サイコー!!」
プシッと音を立てて開けた缶ビールを、梔子の花に向かって掲げてひとりで乾杯してから、そのビールに口を付けた。